エオニアの魔の手から『白き月』を守りぬいてからはや5年・・・
いろんなことがあった。
エオニア軍の壊滅、『黒き月』の破壊、エンジェル隊への新しい仲間。
そして・・・蘭花との結婚・・・・

「ちょっとタクト〜、聞いてるの?タクトってば!」
瞑想にふけっていると蘭花の声が聞こえた。
「あ、あぁ・・・えーっと・・・・なんだっけ?」
「ちっとも聞いてないじゃい!もぉ〜しっかりしてよ。
これから新入隊員の歓迎会じゃない!」
そうだった。今日は新入隊員の歓迎会だった。
「えッ!歓迎会って今日だっけ?まだ公演の文章全然考えてないよ!」
エルシオールでは2年に1回隊員の配属転向がある。
とは言ってもエルシオールは「ロストテクノロジー」の
一級品。『月の巫女』にしか扱えない代物。
簡単に言えば白き月の隊員との交代みたいなものだ。
「びしっと決めてよ☆ダーリンっ♪」
「おいおい・・・いきなりそんな恥ずかしいこといわんでくれよ・・・」
こいつは昔と全く変わってない。
「そういえば昨日フォルテさんからメールが入ってわよ」
フォルテ・・・懐かしい名前だ。フォルテ、ミントがこの船を
降りたのは2年前だ。とはいっても白き月にいるのだから
これといって変わった気がしない。
「なんだって?」
「えっとねー・・・実は私も読んでないんだ・・・」
「そうなの?それじゃあ一緒に見ようか」
「うんッ☆」っと返事をすると部屋へ戻っていった。
ブイィィィィィン
俺も蘭花の部屋に入り椅子に腰掛ける。
「ほら、これよ」
「ん、どれどれ」
最近流行っているロストテクノロジーの小型の電子ユニット。
『スペースモバイル』
俺はモバイルの画面をのぞき込む。そこにはこう書いてあった。
「久しぶりだね〜。どうだい?エルシオールの具合は?
司令官どのは元気でやってるかい?
おっと、積もる話もあるけど本題に入るよ。今度エルシオールにあたしの妹が配属されるんだよ。
まぁ迷惑かけるかもしれないけどよろしく頼むよ☆あっそうそう。
ついでにミントもまたそっちに配属になったから!
その辺よろしく♪また時間ができたら遊びにいくよ☆早く子供の顔を見せれおくれよ♪」
「妹ね〜・・・・初耳だ」
フォルテの妹だろ・・・やっぱ銃とか好きなのかな?
「フォルテさんも言いたいこといってくれるわよね」
「まぁフォルテらしいといえばフォルテらしいけど・・・ははっ」
でもミントも戻ってくるみたいだし、大丈夫だろう。
「ねぇ・・・」
なにやらもじもじとしている。
「ん?どうした?トイレか?」
「ち、違うわよ!その〜最後の文章・・・・」
最後の文章・・・・あっ・・・
「あ、あははは〜・・・そういえばミントと会うのは3年ぶりだね〜なんだか楽しみだよ〜♪」
無理やり話題を変え、蘭花の気をそらす。
「何よデレデレしちゃって・・・・」
なにやら蘭花はご機嫌斜めのご様子。
「もしかして嫉妬してるのか?いや〜参ったな。モテる男はつらいね〜☆」
「調子に乗ってんじゃないわよ!早くティーラウンジに行くわよ!」
ぷんすか怒りながらズカズカとティーラウンジに向かってゆく。
「さて、俺も仕事頑張らなくちゃ!」
気合を入れ直してティーラウンジへと向かう。
「結構集まってるな〜」
ティーラウンジには真新しい顔がいっぱいあった。
とは言っても前にいた人もいるみたいだ。
「え〜ただいまよりみなさんの歓迎会を行いたいと思います。まぁ堅い話は抜きで・・・・
オホン、私がこのエルシオールを仕切っているタクト・マイヤーズです。
それではみなさん、今日は楽しんでください!それでは、乾杯!」
「かんぱーーーーい!!」
カチ〜ン
勢いよくグラスのぶつかる音がティーラウンジ内に響き渡る。
「あっ!マイヤーズ指令!」
「んっ?」
声のしたほうに振り返るとアルモだった。
「あれ?アルモもエルシオールに配属されたのかい?」
「ええ☆またよろしくお願いします!」
そういえばレスターとはうまくやってるのかな?
「レスターとはどうだい?うまくいってる?」
「もちろんですよ♪」
アルモの猛アタックのすえレスターは心を開いていってのである。
「それなら良かったよ。あいつ結構奥手だから〜ガンガン攻めちゃってOKだから☆」
「もぉ〜何言ってるんですかマイヤーズ指令!」
アルモは顔を真っ赤に火照らせて平手で俺の肩を叩いている・・・痛い・・・・
「私たちのことより蘭花さんとはどうなんですか?」
「ん〜?いつもどう・・・いやいや、毎日ラブラブだよ!」
「どうしたんですかマイヤーズ指令・・・そんなそわそわして」
動けなかった・・・・視界の向こうにいる獣が
俺を捕らえていたからである。
「ターークーートーー?」
その獣は牙をむけてゆっくりと近づく。
「いや・・・俺は・・・何も・・・」
ベキッドゴッバキッ!・・・・
「こら!待て!いてッ!ちょ・・・待てって・・・グホッ!」
蘭花のラッシュを紙一重でかわしていたが得意の膝蹴りが顎を直撃。
「ふんっ!!」
蘭花はぷんすか怒って行ってしまった。
「何をあんなに怒っているのでしょうか・・・・?」
アルモが倒れている俺に近づき問う。
「ヤキモチでもやいてるんだろう?」
俺にはいまいち女心はわからん・・・
「あらあら、それでは一人前の司令官にはなれませんわよ」
聞き覚えのある声・・・・パタパタと動くウサミミ・・・・
「やぁミント・・・久しぶりだね」
痛む顎を抑えながら当人のほうへと向く。
「お久しぶりですわタクトさん」
「お久しぶりですミントさん☆」
「2年ぶりだね〜白き月ではどうだった?」
2年の歳月が過ぎているというのに俺たちは何も変わっていなかった・・・
むしろ何も変わらないほうが俺にとっては嬉しいんだけどね。
「もう毎日忙しくて大変でしたわ。環境保護チームのサポートとして
いろんな星を点々と移動していましたから・・・」
ため息をつきながらも顔は楽しそうだった。
「へぇ〜でもフォルテさんと一緒だったんじゃないんですか?」
「いえ、フォルテさんは傭兵訓練所に派遣されましたは・・・・
『これでいくらでも撃ちまくれるぞ〜!!』ってはしゃいでいました」
フォルテらしい・・・・
「そういえばフォルテの妹が入ってくるって言ってたけど・・・聞いてる?」
ミントはきょとんとした顔で答える。
「いえ、フォルテさんとは船を降りた日以降会ってませんから・・・」
「う〜ん・・・いったいどんな子なんだろう?」
「やっぱり銃とか好きなんじゃないでしょうか?」
「以外にもお子ちゃまだったりして」
「あははははははは〜〜!!」
みんなで大笑いしてしった。
本当にどんな子なんだろう・・・早く会いたいな♪
俺はミント達と別れ新人隊員の資料を見るため司令官室へと向かう。
「おや?」
司令官室に向かうと一人の女の子がドアを一生懸命叩いている。
「どうしたんだい?ここの部屋に何か用かな?」
女の子は見慣れない服を着ていた。隊員じゃないのかな?
「すみません・・・・あの・・・その・・・道に迷ってしまって・・・
姉から何かあった時は司令官どのに聞けばいいって・・・」
姉・・・・まさか・・・
「君・・・名前は?」
女の子は顔を真っ赤に染めて俯いてしまった。
なんか悪いことしちゃったかな・・?
「ごめんごめん。もしかして君のお姉さんはフォルテかな?」
半信半疑で女の子に問う・・・・
「はい・・・・」
マジで!!!!!!!!!!!
「そうか、君がフォルテの妹だったのか・・・・おっと、
自己紹介が遅れたね、俺の名前はタクト・マイヤーズ、この船の責任者だよ」
俺はそっと手を差し伸べる。
女の子はその手にそっと自分の手を重ねる。
「えっと・・・モナカ・シュトーレン・・・・」
モナカって言うのか〜可愛い名前だな。
「えっと・・・・ティーラウンジに行きたいのかな?」
俺は話しを本題へと戻す。
「エッ・・・あの・・・その・・・う、うう・・・」
「?」
「う、うぅ〜うあああぁぁぁぁぁぁぁん!」
何!!
「え、あの・・・ちょっと・・・?」
「うあぁぁぁぁぁん・・・うっ・・・ぐず・・・うわぁぁぁぁん!!」
「た、頼む!泣き止んでくれ!」
どうするタクト!このままではいつのも展開に・・・グフッ!!!!
時既に遅し・・・・俺の身体は放物線を描いて宙へと舞った。
良い蹴りだぜ蘭花・・・これでお前に教えることは何もない・・・安心してあの世に逝けるぜ・・・ガクッ
「何勝手に妄想入ってんのよ!」
今日はよく飛ぶ日だ・・・・あははは〜・・・
俺はそのまま目を閉じた・・・・
「はぁッ!・・・・ここはどこだ?俺は・・・何をしていたんだっけ?」
いててて・・・なんだか身体中が痛むな・・・
「気づかれましたか・・・タクトさん・・・」
「・・・・」
ん?
「目が覚めたみたいね〜目覚めのコーヒーはいかが?」
へっ?
「あの〜・・・・ここはどこなのでしょうか・・・?俺はいったい何を・・・・」
「何寝ぼけてんのよ〜ほら、コーヒーよ」
「あ、ありがとうございます」
思い出せない・・・・俺はいったい何がどうして・・・・
コーヒー美味しい〜こだわってんな〜
「すみませんお世話になっちゃって」
俺は医者であろう女性と不思議な動物を肩に乗せている女の子に御礼を言い、
とりあえず部屋を出ることにした。
「ちょっと待って!」
急に呼び止められ、反射的にビクッ!っとなってしまう。
「は、はい・・・なんでしょう?」
「ヴァニラ・・・ちょっと身体検査をお願い」
「はい・・・」
女の子はヴァニラって名前なのか〜可愛いな・・・っておい!
「・・・・・」
ヴァニラは無言で不思議な動物を操り、俺をじーっと見つめている。
「・・・・終わりました」
「どうだった?」
「全身打撲の他脳に重度の障害が見られます・・・一時的な記憶喪失だと思われます」
なに!記憶喪失だって!?
「あら、それは大変ね〜どうしましょう・・・ズズッ」
おいおい、のんきにコーヒー飲んでるなよ。
「あの〜俺はどうしたらいいんでしょうか?」
「一緒にお祈りを・・・・」
お祈り・・・ですか?
「な〜に一時的なものだからすぐに治るわよ☆」
ほっ・・・ならよかった。
「よくない!全然よくない!」
「コレも・・・神の思し召しです」
神でも仏でもなんでもいいから助けてくれーー!
「せめて俺の素性だけでも・・・」
俺はケーラという船医からいろいろと話しを聞いた。

「俺って結構偉い役職だったのか・・・」
改めて自分のことを聞くとなんだか不思議な気分である。
資料を見ながら司令官室へと向かっていると不意に声をかけられた。
「タクトさ〜ん!」
ピンクの髪の毛、頭に花・・・えっと・・・ミルフィーユだったかな?
俺はさっきまで見ていた資料から必死に探す。
「大丈夫ですか?蘭花にボコボコにやられたって聞いて・・・」
「あ、あぁ・・・大丈夫だよ・・・それじゃあ俺は行くよ」
この場から早く逃げ出したかった。記憶が曖昧なのに名前を間違えてしまったら
彼女を悲しませてしまう・・・
「ちょっと待ってください・・・あの、タルトを作ったんですけど・・・一緒に食べませんか?」
えっ・・・やばい、かなりやばい・・・
「す、すみません!お仕事の邪魔しましちゃって・・・それじゃあ!」
「あ、あの!・・・・」
行ってしまった・・・・あとで謝っておかないと。
「とにかく今は部屋に戻ることだ」
・・・・迷った・・・
やばい!どうしよう!誰かに聞くって言っても・・・俺は司令官であるわけだし。
うおーーーどうすれば!
「あ、あの・・・タクト・・・さん」
心の中で絶叫していると不思議な服を着た一人の少女が話しかけてきた。
「え〜っと・・・どうしたのかな?」
ここで記憶喪失だとばれたらまた話しがややこしくなる!
誤魔化すしかない!
「あの・・・さっきはごめん・・・なさい・・・」
「さっき・・・あ〜あれね・・・大丈夫だよ。もう平気さ!」
さっき何があったんだ!
「これ・・・・」
「なんだいこれは?」
「・・・・・・」
ダッダッダ・・・・
「ちょ、ちょっと君!・・・行ってしまった」
いったい何をくれたのだろうか?
あとで見るとしよう。今は司令官室が先だ。
それから何人もの隊員と会話しながらやっと司令官室へとたどり着くことができた。
「うっひゃ〜もうダメ〜疲れた〜」
ソファーへ横になると睡魔が一気に襲い掛かった。
時計に目をやると既に午後9時を回っていた・・・
「晩飯・・・zzz」


タクトな話

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