コンプレックスラバーズ

「うわ!ノット艦長!!見ろよレスター!!超かっけ〜〜!」
「タクトって結構ミーハ―だよな…」
いつもテレビの中でだけ見ていた人物が目の前を通って、タクトの声に小さく手を振る。
はしゃぐタクトの首根っこをむんずと掴んだのは、ルフトだった。
「こら、はしゃぐでない!も〜人に面倒かける年でも立場でもなかろう」

言われて改めて、タクトは自分の首から下がっている関係者用の通行パスをしげしげと眺めた。
「ホントに、有難うございます。まさかこんなとこ見学できるなんて〜」
「俺は第七軍所がよかったのにな〜」
レスターの言葉にルフトのくちびるの端が引きつる。
「なら帰るか?人がせっかく新型船艦のお披露目に立ち合わせてやろうって言っておるのに」
この新型船艦の責任者であるルフトに頼んで見学させてもらおうと言い出したのはレスターだった。
そんなまさかと思ったが、意外にもルフトはあっさりOKを出して。
タクトも興味が手伝ったのに加えて、なんとセレモニーに宇宙でも大人気の女優が来るという。
「ああ〜本物すっげぇ可愛いだろうな!サインもらえないかな〜〜〜!!」
半ば呆れ顔のレスターの横で目をキラキラさせているタクトに、ルフトが笑う。
「ほほうタクト、あの女優みたいな娘が好みなのか。ふ〜ん、のう、レスター!」
「は?何言ってらっしゃるのやら?」
今度はレスターのくちびるの端が引きつる。
「あとでサインもらえるように頼んでやるわい、タクト」
「マジ??!!うわ、有難うございます!!!!」
レスターとルフトの間に走った火花を遮ったのは意外にもまったくの第三者、だった。

「ルフト様、息子さんですかァー?」
いきなり顔をつかまれて、流石のレスターも面食らう。
「うわールフト様のお子さん!綺麗ねーvvv」
ちょっと細身の背の高い女性がレスターの顔を撫で回したり髪に触れたりする。
タクトがちょっとむっとしたような顔をしたのを見て取って、ルフトはタクトに耳打ちした。
「あの人な、今日ゲストの女優さんのヘアメイクさんじゃよ。綺麗な子が好きなだけで他意はないから大丈夫じゃ」
「メイクさん?」
「そう、ちょっとした知り合いでな」
ルフトの手がタクトの頭をくしゃ、と撫でる。
昔から優しい目で見守ってくれたルフトの行動に、タクトも思わず微笑んだ。

自分とレスターのことを、知っているんだと思う。

それをとても気恥ずかしく思いながらも、ルフトにだけは知られていることが重荷じゃなかった。
許されない想い。
咎めてもおかしくないひとなのに、むしろ
「タクトも可愛いぞ」
「・・・なんか複雑なんですけど」
自分の息子のように、可愛がってさえくれる。
父親というよりも、友達のように、こころを割いてくれる。

でも、それが余計、つらい。

自分はタケルに、ナツコに、何もあげられないのに、いつももらってばかりだ。
優しいきもちを。
想いを。



動画 アダルト動画 ライブチャット