ミント×蘭花

 始めはただの仲間程度としか思ってはいなかった。
 だが、次第に「あの人」の存在が大きくなっていたのに気づいた。
 もしかすると…永遠に気付かなかったほうが幸せだったのかもしれない。
 でも…こんな自分を受け入れてくれるのは、「あの人」だけなのかも…
 そんな思いがいつの間にか心を支配していた。
 そう。こんな体を持つことになってしまった、私を…

「ランファさん」
 通路で出会ったランファに声をかける。すると長く美しい金髪をたなびかせ、ランファ
がすっとこちらを振り向いた。
「あら、ミントじゃない。どうかしたの?」
 いつもどおりの表情、声で自分に声をかけた少女―ミント・ブラマンシュに答える。
嗅ぎなれた香水の微かな香りがミントの鼻をくすぐる。以前までは何とも思わなかったこの香りにも、
ミントはいつの間に心から落ち着きを覚えるようになっていた。
「急に声をかけてしまって、申し訳ございません。あの…いまは少々よろしいですの?」
 本当は緊張と嬉しさで爆発しそうな感情を抑え、いつも通りのポーカーフェイスを心がけて
ランファに言葉をかける。
(顔に出てしまっているでしょうか…)
 自分でも思わず要らない心配をしてしまう。以前は考えもしなかったが、
今の自分では心配せずにはいられない。しかも、今日は心に決めたことを
ついに実行に移す日なのだから。
「アタシ?えっと……」
 少し考え込むような表情になるランファ。ミントにはそれが気が気でない。
 決して顔には出さないが、ランファが自分を拒むようなことを言ってしまったら…
「うん、今日はもう任務から外れたし、付き合ってあげるわよ」
 軽くウインクして答えるランファに、ミントは心から安堵したように息を吐いた。
「ああ…ありがとうございます、ランファさん。では、私の部屋にまで来てくださいますか?」
「わかったわ。それで、アタシに何の用なの?ミントがアタシにって、珍しいなって思ったのよ。だから…」
「いえ、大した用事ではありませんの。ただ…少し込み入ったお話がありますから」
 言葉を続けるランファを制し、にっこりと微笑んで見せると、ミントは改めて
ランファの顔をじっと見つめる。
「あ、あのさ…ミント、アタシの顔に何かついてるの?」
 そのランファの言葉に我を取り戻す。気がつくと、ランファの顔が面前に迫っていた。
「い、いえ!なんでもありませんわ。なんでもありませんの…」
 慌てて笑ってごまかしてみるが、そんなミントにランファは不振な目を送る。
「ふーん…ま、どうでもいいんだけどね」
 興味なさそうに顔を離すランファの目を目線で追いながら、ミントは心を落ち着かせる。
(本当に気づかれてしまったでしょうか…これからというのですのに…)
 あくまで表情には出さないものの、ミントの内心を象徴するかのように
大きな耳が少し垂れてしまう。
それに気づいたミントが、それを慌てて元に戻そうとした時。
「ねぇ、ミント。アタシの部屋に来てみない?どうせ話すならアタシもやっておきたいことがあるの」
 徐にランファが口を開く。対するミントは目を数回瞬きさせる。
「……はい?」
「だから、アタシの部屋でいいって聞いたのよ。アタシがミントにお願いしたいこともあるしね。
それともアタシの部屋だと、都合が悪い?」
「い、いえ!そんなことはありませんわ!私のほうがお願いしたいぐらい……
な、なんでもありませんわ!」
 ちょっと気まずそうな顔になるランファに、ミントは思わず取り乱したように取り繕う。
 そんなミントにランファは少し驚きつつ、照れをごまかすように髪に指を通して
さらりと払ってみる。
「じゃ、じゃあ、アタシの部屋でいいのね?そうと決まればさっそく行くわよ!」
「あ、あの、ランファさん…」
「細かい話は後!こんなところで立ち話してても仕方ないでしょ?」
 そう言ってランファはミントの背中を軽く押し、先へ進むように促す。
(あ…ラ、ランファさん…)
 ランファの温もりを背中越しに感じ、ミントは思わず顔を少し紅潮させる。
幸いなことに背後のランファにはそれを見られてはいないが、自分の想い人に
こうして触れられ、いつも以上にミントの意識は高揚していた。
(いい感じですわね…私のシュミレーションとは結果が違いますが…願ってもないトラブルですわ)
 内心で笑顔を浮かべつつ、ランファに促されながらミントはランファの部屋に向かった。
「じゃ、ちょっと座って待っててくれる?いまお茶を出すからね」
 ランファに部屋に着くと、彼女はミントに席を勧める。そして部屋の奥へ行くと、
彼女の故郷から贈られたジャスミンティーを淹れる準備を始める。
「…はい。では楽しみに待たせていただきますわね」
 鼓動が高まる胸を落ち着かせながら、すました様子を心がけてランファに返事を返す。
 長い金髪をなびかせて部屋の奥へ向かうランファの後ろ姿を見送ると、ミントは改めて
ランファの部屋を見回す。
(ランファさんの匂い…)
 中華風にアレンジされ、各所に少女趣味を思わせるアクセサリーや
小物が置かれた部屋に漂う香り。その香りにミントはかつてない心地よさを覚えていた。
 (そういえばランファさんのお部屋に来るのは、本当に久しぶりですわね…)
 そう思うと、ミントの心も自然に高揚していく。そんな自分を落ち着かせようとするが、
ランファの部屋にいるという事実は、ミントから「いつもらしさ」を失わせていた。
 少し熱っぽさを帯び始めた瞳をランファに向ける。そのランファは何も知らずに
ミントと自分の分のお茶を淹れる準備を進めていた。思えば、そういったランファの姿を
見るのは、ミントにもあまり覚えがなかった。
 鼻歌を歌いながら嬉々として手を進めるランファ。
 そして、ミントはそっと席を立つとランファの背後に迫った。
「あ、ミント。もう少し待っててくれる?いまお湯を沸かしてるところだから…」
 ランファは顔をミントに見せ、にっこりと微笑むとそのまま作業を続ける。ミントの真意も
知らず、いつもどおり無防備な姿をミントに晒している。
「はい。わかっていますから、ゆっくりと進めてください。
ランファさんも火傷には注意してくださいまし」
「わかってるわ。ミルフィーじゃないんだから、そんなミスなんてしないわよ」
 少しふてくされたような口調でランファが答えたその時。
 ミントは懐から小型の携帯注射器を取り出し、無防備なままのランファの肩にそっと押し当てる。
そして、軽く引き金を引くと注射器に装着されたアンプルを一気に注射した。
「え…?ミ、ミント、アタシになにしたの!?」
 ランファは肩に感じた違和感にすぐに反応し、悲鳴にも近い声をあげてミントの方を振り向く。
そのランファの目に入ったのは、にっこりと意味深な笑みを浮かべて立っているミントだった。
「あら、痛かったでしょうか?最新型ですからそんなことはなかったと思うのですが…」
「そ、そういう意味で言ってるんじゃないの!アタシに注射……なの?
いきなりそんなこと、するなんて…」
 未だ違和感の残る肩に触れ、当惑した表情を浮かべたまま、ランファはミントを見つめる。
今までもミントに軽いいたずらをされたことはあったが、ここまでされたのは初めてだったからだ。
「そんなに怖い顔をしないでくださいまし、ランファさん。大丈夫ですわ、
すぐに効果が現れてきますから」
「すぐに効果が出てくるって、アタシになにをしたのよ!アタシだって、話によっては怒る…」
 そこでランファの言葉が中断される。ドクン、と体の奥からなにかがこみ上げるような感覚に、
ランファは自分の体を支えようと思わずキッチンのシンクに手をつく。
「な、なんなの、これ……」
 体中が熱くなり、じっとりと汗をかき始めた体を支えようとするが、次第にランファの体全体を
脱力感が襲い、さらに例えようのない感覚が体中を支配する。
 ランファは顔をしかめながら、改めてミントへと視線を巡らす。相変わらずミントは笑みを浮かべたままで、
その表情からは何も窺うことはできない。
そんな状況に腹立たしさすら覚えながら、ランファは足元をふらつかせながらベットに体を沈み込ませる。
ミントはそんなランファの姿を、ただにこりと笑顔を浮かべて見ているだけだった。
 全身が言い様のない熱さに支配され、体中にうっすらと汗をかきながら、ランファは虚ろな表情で
ベットに近寄ってきたミントに声をかける。
「ミント…アンタ…、正直に言いなさいよ…アタシに…」
「媚薬を注射させていただきましたわ」
 ランファの言葉を見透かしたように、即時に答えるミント。
 そして笑顔を浮かべたまま、ベットの上にいるランファの側に腰を下ろす。
「わざと効果が遅く表れるようにしましたのよ。即効性では、ランファさんにも心の準備ができないでしょうから」
 汗でしっとりと濡れたランファの額にそっと手を触れ、愛しそうな瞳で呆気に取られている様子の彼女を
見つめるミント。
 そしてランファの頬に両手を添えると、荒い呼吸をしたままの口を唇でそっと塞ぐ。 
「ミ、ミン……!」
 急な展開に全く事情がつかめず、さらに媚薬の効果で脱力した体ではどうする事もできずに
ランファはミントの口付けをなすがままに受け入れる。
「ん、ふっ…ランファさん…」
「ミ…!やっ…やめ、て…」 
 口の周りを丁寧に舐め、唾液でしっとりと濡らすと、ミントはランファの口に自分の舌を
ゆっくりと差し入れていく。そしてランファの舌に触れると、そのまま絡め取るように舌を絡ませ、
ねっとりと舌を貪ると自分の口の中に溜まった唾液を、ランファの口の中に注ぎこむ。
「ランファさん…私を味わってくださいな…」
 そう言いながら、ミントはなおも唾液を注ぎ続ける。ランファがそれに抵抗するように動かす舌を
動きを封じるように絡め取り、さらに濃厚なキスを続けていく。
「んふっ…っ!…ぁ…くちゅぅ…」
「んっ……ちゅむっ…ん、む…っ」
 静寂が支配したランファの部屋に、二人の服が擦れ合う音と唾液が絡み合ったキスの音が響く。
 一方のランファは媚薬で高まってきた自分を制御できず、ミントによって口の中を蹂躙されることにも
次第にエクスタシーを感じ始めていた。
 目を閉じ、ただひたすらミントとの口付けを続けるランファ。その顔は真っ赤に紅潮し切っていたが、
それはただ息苦しさから来るものだけではない様子だった。
 そんなランファの様子を、口の中を貪りながら薄目を開けて観察するミント。
(ここまでは、私の計画どおりですわ…ふふっ)
 内心で笑顔を浮かべつつ、ミントは絡め取っていたランファの舌を解き放ち、そっと唇を離す。
「あ……は、ぁ…」
 長いキスですっかり切なそうな表情を浮かべ、ランファは肩で大きく息をしながら涙目でミントを
じっと見つめる。
「ミントぉ……アタシ…」
「ふふっ、素直になってくださいましたか?ランファさんのそんな顔も、すごく素敵ですわね…」
「急に、こんなことする、なんて…ずるい…」
 ランファはなおも苦しそうに胸を上下させ、必死に呼吸を整えようとする。だが、体中に効果が
行き渡った媚薬の効果がそれを妨げていた。
(アタシ…こんなにいやらしくなっちゃってる…ミントのキスも、すごく、気持ちよかったし…)
「あら、ランファさん。私のキスを好きになってくださったんですの?」
 ミントのその言葉に、驚いたように虚ろな目を見開かせるランファ。
(忘れてたわ…ミント、テレパスが…)
「はい、しっかり使わせていただいていますわ。こうした方がよりランファさんを
身近に感じることができますから」 
 ランファの全てを見透かすかのように、ミントは再び笑みを浮かべてみせる。

「では…本当の目的、始めさせていただきますわね」  
 誰に言うというわけでもなく、ミントはぽつりと呟くと、再びランファの唇を貪った。



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