レスター×フォルテ

 薄暗いバーのカウンターで一人、酒を飲む影があった。
「暇だな・・・」
誰ともなくそう呟く。ヴァル・ファスクとの死闘の後、エルシオールの乗組員には約一ヶ月もの有給が与えられた。
それはそれでうれしいことなのだが・・・。
「ここまで見事にやることがないとはな」
休暇のはじめこそテレビだなんだで忙しかったが、結局主役でなかった自分は三日もすればやることがなくなってしまった。
結局、昼間は街を適当に散策し、夜は酒場で誰かのことを考えながら過ごす日々が続いていた。
「あと二週間・・・長いな」
誰かと遊ぼうにも、この忙しい時期に休暇をもらってる知り合いなど一人もいない。
いや、いるにはいるが、彼等は恋人や友人たちと既にどこかへ旅行に出かけてしまっている。
自分も一応誘われはしたのだが、あまり付き合う気にもなれず、断っていたのだ。
もっとも、彼等といたところで意味もなく遊ぶ、などということは決してないけれど。
「かなり早いが、仕事に戻るというのもありか。代金は置いていく」
そう言って、立ち上がった時。
 ちりりぃん
店のドアが開く音がした。そして、意外なことに自分に声をかけてくる。
「クールダラス副司令ではありませんか。こんなところで何をしてらっしゃるのです?」
俺の知ってる限りでは、こんなところにいるはずのない、そして、ふとしたときに思い出してしまう人物の声だった。
「フォルテ・・・俺はもう副司令じゃない」
はやる気持ちを押さえつけ、何とか平静を保って答える。
「そういえばそうでしたね、クールダラス中佐」
俺の座っていた椅子の隣に腰掛けると、フォルテはウイスキーのロックを注文した。
「レスターでいい」
暗に敬語は必要ないと伝えると、それに気づいたフォルテはいたずらっぽく微笑んで俺を見上げる。
「帰るのかい?」
「・・・気が変わった。もう少し飲んでいこう」
俺はさっきまで座っていた席に再び座る。
「あんたの気が変わるなんて、珍しいこともあるんだね」
店内は薄暗かったが、それでもフォルテは俺の顔が薄くだが赤くなっているのに気づいて苦笑をもらす。
「ソフトドリンクにしておいたほうがいいんじゃないか? それとも・・・」
「それはない」
俺は、これ以上フォルテに追及されたらかわしきれないと判断し、さっさとこの会話を打ち切ろうとした。
フォルテの質問を聞かないままとりあえず否定の意を示し、続けられないうちにさっさと注文する。
「ブラッディマリーを頼む」
あの強烈な味で一時的にでも酔いを吹き飛ばしておきたかった。
「私は苦手だね、あれは」
俺だってそうだ、と言いかけたのをあわてて止める。
何かしゃべったら、そこからフォルテに切り込まれそうで、俺は何もしゃべれない。
何も言わずに俺は出されたコップを一気にあおった。
「・・・すごいね」
「好きなんだ」
俺はとっさに言い返したが、すぐにこの選択が誤りだったことに気づく。やはりジンジャーエールあたりにしておけばよかったのだ。
もともとあまり酒に強くない俺は、一気に飲み干したことでふらふらしだしていた。
何とかフォルテに気づかれないように、それだけで精一杯だった。
そんな俺を見てフォルテは再び苦笑した。
「それで、レスターはこの二週間、何をしていたんだい?」
酒のせいか、フォルテの声を聞くたびにどきりとする。
「特に何も」
「デートとかは?」
街でカップルを見かけるたび、フォルテと話せたエルシオールのほうがよかった、と考えていた自分を思い出す。
「相手がいない」
「いくらでもナンパできそうじゃないか」
「・・・あまり、興味がないのでな」
なんとか搾り出した言葉にはまったく力がなかった。
「ふふ、その様子だと、気になる相手がいるみたいだね」
すべてを見透かしたように、フォルテは笑う。
これ以上聞かれる側に回っていたら、いずれすべて話してしまう。俺はそう考えて、逆にフォルテに聞くことで何とかごまかそうとした。
「それよりも、お前はどうだったんだ? 他の連中と旅行に行ったと聞いたが」
「さすがに二週間も旅行しっぱなし、ってことはないよ。三日くらい前に帰ってきて、後はみんな好きなことやってるさ」
そこでフォルテは一杯目を空け、すぐに二杯目を頼んだ。
「・・・デートとかはしないのか」
俺は、何を聞いているのだろう。あまり、聞きたくはないが、聞かずにはいられなかった。
「ふふ、あんたと同じで、相手がいないよ」
フォルテの横顔はなんともいえない微妙な表情をしていた。その横顔に見とれていた俺は、しばらくたってようよう声を絞り出した。
「・・・そうか」
その声に隠し切れなかった歓喜の色が混じっているのに気づいたのか、フォルテは艶っぽく俺に微笑んだ。
フォルテのこんな表情は初めて見た。不覚にも、吸い込まれるようにして彼女の瞳を見つめていた。
俺は、いつから彼女に惹かれていたのだろう。
ちとせが来る前まで、あの滅茶苦茶なエンジェル隊の中で唯一まともに話しが通じる相手だった。
他の四人とは自分から話す気力もなかったが、彼女だけは別だった。
気がつくと、わずかな空き時間に射撃訓練場に向かっていた自分がいた。
どうせたいしたことも話さないのに、フォルテがいないと妙に残念だったのを覚えている。
そのうちに、夜遅くまで仕事をしているときには差し入れをしてくれるようになった。
少し話すためだけに、すぐに終わるような仕事でもちんたらやって彼女を待っていた。
「・・・大丈夫かい? あまり無理しないほうがいいよ」
フォルテは部屋に入るたびに、同じ台詞を口にしていたな。
「・・・ちょっと、ホントに大丈夫かい!?」
「・・・ん?」
フォルテに揺さぶられて、意識がはっきりしてきた。どうやら俺は、座ったまま眠りだしたらしい。
さっきまでのは、夢だったのか。
「しっかりしておくれよ、ほら、水飲んで」
フォルテの顔が近づく。ただそれだけで、心臓の鼓動が早まった。
「・・・いや、大丈夫だ」
少しあきれたようなフォルテの声が、頭の中に響く。
「頑固なのは、酔っても変わらないね」
「・・・・・・」
はぁ、とフォルテがため息をついたのが聞こえた。
「その様子じゃ帰る前に倒れるよ。送ってく」
どうやら俺は、自分で思っているよりも相当ヤバイらしい。俺は素直にフォルテに従うことにした。
「すまない、立場が逆だな・・・」
フォルテが来る前にかなり飲んでいたとはいえ、好意を抱いている女性に介抱されなければならない自分が情けなかった。
「気にしなくていい。ほら、行くよ」
フォルテは俺に肩を貸すと、俺の財布から二人分の代金を抜き取ってテーブルに置いた。
「酒の代金でチャラにしておいてあげるよ。ほら、しっかりしなって」
 
 よたよたと歩いて店の近くの公園に来ると、フォルテは俺をベンチに座らせた。
途中、何かを話しかけられていたみたいだが、はっきり言ってまったく覚えてない。
服越しに触れる彼女の体と、時折風になびく彼女の髪、
そして何度か手のひらがかすかに触れた彼女の胸、俺はそれだけで頭が一杯だった。
「しかしまあ、あんたにも弱点みたいなものはあったんだね」
「・・・・・・」
会話にまったく頭がまわらない。自分で何をしゃべっているのかさえわからない。
ただひたすら、今すぐにでも押し倒したい衝動を抑えていた。
「ちょっと、聞いてる?」
うつむいている俺の顔を覗き込むようにフォルテの顔があった。
「ぁ・・・」
「何? 何だって?」
フォルテの顔がさらに近づく。俺はもう、我慢できなかった。
「レス・・・ん、んんっ!!?」
彼女の顔を引き寄せ、強引に唇を奪い、間髪いれずに舌を侵入させた。自分だけが快楽をむさぼる、一方的な口付け。
「んーっ! んむうーー!!」
フォルテは必死に抗ったが、腕力では俺にかなわない。俺は気の済むまでフォルテの唇を蹂躙し、ようやく離した。
糸を引く唾液がひどく淫らに感じた。
「はぁっ、はぁっ、レスター、どうしたって・・・」
「く・・・フォルテッ!」
キスだけでは満足できるはずもなく、俺はフォルテを座っていたベンチに押し倒す。
「ちょ、ちょっと!」
あわてて抵抗しようとするフォルテを押さえつけ、のしかかっていく。
「フォルテ・・・ずっと、好きだった。そして、今も・・・だからもう、俺は自分が抑えられない」
「レスター・・・」
理性がまだ残っているうちに、思いだけでも伝えておきたかった。俺が、獣になる前に。
「フォル・・・んんっ?」
さっきとは違う、やさしい口付け。ただ触れるだけのキスに、俺の心は少しづつ落ち着いていった。
「馬鹿だね、あんた。好きでもない相手に、何度も何度も差し入れなんかしないよ」
しばらくたって離れた後、フォルテは優しい声でそう語る。だが俺は、一時の劣情に流された自分が許せなかった。
「だが・・・俺は・・・」
激しい後悔にさいなまれる俺のすべてを見透かしたような優しい声。
「さすがにさっきはびっくりしたけどね、あんたがあたしに『好きだ』って言ってくれたことが何より嬉しかったよ」
そう言って、俺の背中に手を回す。
「フォルテ・・・」
そして俺たちは、再び口付けを交わす。はじめはやさしく、そしてだんだんと激しく。
その間にも、俺はフォルテの胸を揉み始めていた。きめが細かく、吸い付くような感触を楽しんでいく。
「ふぁっ・・・ああっ」
時折あがる殺しきれない喘ぎ。
二度の激しい口付けでフォルテにも火がついてしまったようで、俺のいい加減な愛撫にも敏感に反応してくれる。
それが、嬉しくて。もっと、フォルテの声を聞きたくて。俺は執拗に愛撫を繰り返した。
「ねぇ、胸だけじゃなくて・・・」
フォルテの声に導かれるように、ゆっくりと俺は彼女の下腹、そして股間へと手を下ろしていく。
その手つきを不安と期待の入り混じった目で見つめるフォルテ。彼女のそんな視線に後押しされて、俺はとうとう彼女の秘裂へと到達した。
「ああっ!!」
そこはすでに、あふれ出した愛液で洪水のようになっていた。
下着を横にずらし、少し指を入れただけで蛇口をひねったかのように次々と染み出してくる。
「すごいな・・・こんなになるものなのか」
つぶやくと、俺はフォルテの秘裂へと口付ける。むわっと漂ってくる女の香りに、俺は限界近くまで勃起していた。
「あ・・・それ、は、ふああっ! あ、あんた、だから・・・さ」
フォルテの声にこたえるかの様に、俺はさらに激しく舌を蠢かし始めた。
「ああっ! レス・・・タ、そんな、激しくっ! したら、あたし、もうっ!」
懇願するかのようなフォルテの声に、俺はいったん口を離した・・・と見せかけて、不意打ちで彼女のもっとも敏感な部分を強く刺激した。
「ひっ・・・あああっっ!!!」
体をのけぞらせて叫ぶフォルテ、どうやら軽く達してしまったようだ。
力が抜けてぐったりしているフォルテを見て、俺のものはさらに固く膨れ上がる。
「フォルテ、俺は・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ。・・・つらそうだね・・・いいよ、来て・・・」
ぱんぱんに膨れ上がった俺の股間を見つめて、フォルテは誘うように足を広げた。
俺は服を脱ぐことすらせず、チャックを開けて完全に勃起した自分のものを取り出すと、フォルテの秘裂にあてがった。
「せっかちだね・・・あたしは逃げないよ」
「もう、我慢できないんだ・・・フォルテ、行くぞ」
「うん、来て・・・」
 ズブブッ!!
フォルテの声が引き金となり、俺は一気に腰をたたきつけた。根元まで一気に押し込むと、脳が溶けるような激しい快感が俺を襲う。
「ぐっ!」
やはり鍛えているだけあってフォルテの中は外見からは想像もできないほどきつく、そして強力だった。
すぐにでも射精してしまいそうな強烈な締め付けに必死で抵抗し、俺は腰を動かし続ける。
「あうっ、レスターのが・・・奥に、あたってっ!!」
ずっと恋焦がれていたフォルテとつながっている、そう考えるだけで、俺の限界は一気に迫ってきた。
「フォ、フォルテッ!!」
 びくびくっ!
突然強くなった圧迫感に俺は我慢できず、フォルテの中に精をぶちまけてしまう。
一方的に達したことに対する情けなさと、反対に心地よい射精感が俺の中で渦巻いていた。
「はぁ、はぁ・・・うっ!?」
激しい射精の後、視界がうつろになっていた俺は、突然の刺激に対して思わずうめき声をもらしてしまった。
いつの間にかフォルテの中から出ていた俺のものを、フォルテが口で愛撫していた。ぴちゃぴちゃといういやらしい水音が響く。
「く・・・あぁ」
巧みなフォルテの舌技に出したばかりのはずなのに、俺のものは再びがちがちに勃起する。
「さあ、次はあたしの番だよ・・・」
フォルテは自分勝手に達した俺をなじらなかった。それはつまり、早い分は回数でカバーしろということなのだろう。
唇についた俺の精液をなめとると、フォルテは俺の上にまたがってきた。
そして、秘裂からあふれ出た雫を俺のペニスにたらすと、そのまま一気に腰を落とした。
 ズニュッ!!
「うあぁっ!」
「んあっ、すごいっ・・・!!」
フォルテが腰を振るたびに、びちゃびちゃといやらしい音が俺の脳に直接響いてくる。
「さあっ、レスターも、動いてっ!」
わけもわからぬまま、フォルテの腰をつかんで激しく下から突き上げる。
響く音も、漂う匂いも、すべてが俺を欲情させる類のものだった。
「ふあっ、あああっ、あたし、もう、すぐっ!!」
フォルテが限界に近づくにつれ、ますます強烈になっていく締め上げに俺の限界もまた近づいていく。
「ぐっ・・・あっ!」
「あたし、もう、いっちゃ・・・!!」
 ビクビクッ!!
フォルテが俺の上で体を反らし、俺はフォルテの中へ二度目とは信じられないほどの精を吐き出していた。
「ああっ・・・」
ぐったりとなったフォルテが俺に倒れ掛かってくる。
射精し、少し萎え始めた俺のものがフォルテの中から抜け落ちるのを感じた。
「はあっ、はあっ・・・」
抱きとめたフォルテの吐息が耳にかかる。あれだけ出したにもかかわらず、
フォルテの甘い吐息に俺はまたしても興奮しだしていた。フォルテもそれを感じ取ったのか、
俺に軽いキスをすると、俺の耳元で、脳をとろけさせるような声でささやいた。
「はあ、はあ、はあ・・・ふふ、レスター、夜はまだ長いよ・・・あたしの部屋に帰って、もう一ラウンドだ」
「・・・当たり前だ」
俺とフォルテは服をただすことすらろくにせず、当然のように彼女の部屋へと向かった。
「・・・・・・」
目を開けたら、窓の外が明るかった。
「ようやく起きたみたいだね」
すぐ目の前にいたずらっぽく笑うフォルテの顔がある。
俺は寝ぼけた頭を起こそうと、目をこすりながらフォルテにむかって口を開く。
「起こしてもよかったんだぞ」
「あんた、起きてるときからは想像もできないくらい寝顔が可愛くてね。つい見入っちまったよ」
「・・・次からは、起こせ」
声色を低くしたところで、フォルテにはまったく通じないだろうと思ったし、実際通じなかった。
「見られたくなきゃ、あたしより早く起きるんだね。そうすればあたしの寝顔を見放題だよ」
「・・・もういい。見られてしまったものはしょうがないからな」
ふふ、とフォルテの笑い声が聞こえる。フォルテにはかなわない、と思った。
「まあ、あれだけがんばればしょうがないさ。結局公園も含めて七回ぐらい出しただろ?」
・・・俺はそんなに飢えていたのか。どうりで、すでに昼を過ぎているというのに体がだるい。
外が明るくなりはじめたころに眠りについたのだから、当然といえば当然なのだが。
「そういえば、どうしてあの時顔が赤かったのかな?」
自己嫌悪に陥っていた俺に追い討ちをかけるかのように、フォルテはわざわざ下からニヤついた笑顔で覗き込んでくる。
あの時とは、おそらくバーで再会したときのことだろう。
「酒のせいだ」
間髪いれずに言い返したが、フォルテにはまったくの無駄だったようだ。
「はいはい、そういうことにしとこうかね。あんまりからかうのも悪いし」
「・・・・・・」
憮然とした表情で何もいえない俺を見ると、フォルテはまたふふっと笑ってベッドを降りた。
「シャワー、浴びてくるよ」
その辺に放り出してあった服を拾ってバスルームのほうへ歩いていく。そんな何気ない後姿がまた美しかった。
これからずっと一緒にいられるのかと思うと、からかわれたことなどどうでもよかった。
「そうだ」
何かを思い出したように、フォルテはくるっと振り返って俺を見る。
「今晩は、とっておきのおでんをごちそうするよ」



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