タクト×ヴァニラ

「(いよいよ明日は決戦か。ちゃんと休んでおかなくちゃな)」
そうつぶやいてタクトが床に入ろうとしたとき、インタホンが鳴った。
「(誰だろう……)」
「お休み中すみません……ヴァニラです」
「ヴァニラ? 待って、今開けるから」
「入っても……よろしいでしょうか」
「? もちろんだよ」
ヴァニラは遠慮がちに扉をくぐってきた。
「どうしたんだい。ヴァニラももう寝なきゃ」
「はい、すみません。そうなのですが……」
「?」
言葉が途切れる。ヴァニラは目を合わそうとしない。
「あ、あの……タクトさん、私、明日は頑張ります」
ヴァニラはその前向きな言葉とは裏腹に、伏し目がちにそう言った。
「そうだね。俺も力いっぱい指揮するよ」
「はい……」
再びの沈黙。
「……ヴァニラ、何だかさっきからちょっと変だよ。何か悩みでもあるのかい?」
「いえ、あの……」
ヴァニラは少し逡巡した後、こちらを見据えた。
意を決したように口を開く。
「本当に私、明日は頑張ります。それしか私にはできないから……。
 それに、タクトさんの指揮を信じてもいます。……でも」
「でも?」
「戦いでは、何が起こるかわかりません。
 もしかしたら、もう会えなくなってしまうかも……」
「それは……そうかも知れない。気休めを言うつもりはないよ。
 でも、今心配してもしょうがないじゃないか。
 それに、万が一、だよ。ヴァニラ」
「おっしゃる通りです。
 でも……私は、その万が一の時に……後悔を遺したくはありません」
「……?」
ヴァニラの声は、微かに震えていた。
「だから……だから私、タクトさんとの思い出を……自分に刻んでおきたいんです」
タクトは打たれたようにヴァニラを見た。驚きだった。
「ヴァニラ、それって……どういう意味だかわかっているのかい?」
「はい、自分なりには……。
 ……すみません、ご迷惑ですよね……」
「め、迷惑なもんか。でもさ、ヴァニラ……」
「いえ、わかっています。
 私には蘭花さんやフォルテさんのような、性的な魅力はありませんし……」
「いや、そうじゃなくてさ」
「でも……でも、私は……!」
紅く澄み通った瞳でヴァニラはこちらを見つめた。吸い込まれそうだった。
「ヴァニラ……!」
思わずヴァニラをかき寄せる。
「あ……!」
「……ごめん、ヴァニラ。卑怯だな、俺。
 ヴァニラにそんなこと言わせるなんてさ」
「タクトさん……」
腕の中にいるヴァニラからは、微かに消毒薬の匂いが漂ってくる。
それが、普段から懸命なヴァニラの姿を思い起こさせた。
「好きだよ、ヴァニラ」
「本当……ですか……?」
「ああ」
「ありがとうございます。うれしいです、私……」
ヴァニラの口許がほころぶ。
「私も、タクトさんのことが、好きです……」
そう言ってヴァニラは体を預けてきてくれた。
抱きしめる腕に力を入れる。
ヴァニラの背は、頭がようやく自分の肩口に届くくらい。
壊れそうに小さな体。
その柔らかさと温かみを感じながら、豊かな緑色の髪を優しく撫でる。
ヴァニラはしばらくそれに身を任せていたが、やがて照れたように口を開いた。
「人の体って、暖かいんですね……」
そう頬を染めて見上げるヴァニラに、軽く唇を重ねる。
「……!」
唇が触れた瞬間、ヴァニラの小さな肩がぴくりと震えた。
それはそうだ。ついこの間までは、小動物に触ることさえできなかったくらいなのだ。
他人と体を触れ合わせることには、ひどく不慣れに違いない。
それなのに、精一杯の勇気を出して、俺のもとに来てくれたんだ……。
その思いに胸が塞がる。
「おいで、ヴァニラ」
「はい……」
ヴァニラは小さくうなずき、ベッドで座る自分の隣に腰を下ろした。
「緊張しなくていいからね……」
肩に手を回し、軽いキスを繰り返しながら、軍服のファスナーを下ろしていく。
以前部屋を訪れたときに見たのと同じ、官給品の白シャツ。
それに、やはりこれも飾り気のない白いショーツ。
そこからすらりとした、肉付きの薄い脚が伸びている。
「(ブラは、まだ付けてないんだな)」
シャツはサイズが合わないのか、少しだぶだぶで、大きく開いた袖口からふくらみかけの胸が覗いている。
ピンク色の突起が可愛い。
「すみません、下着、これしか持っていなくて……」
ヴァニラはすまなげに顔を赤らめる。
「そんなことないさ。かわいいよ、ヴァニラ」
嘘ではない。清楚なヴァニラには飾り気のない格好のほうが似合うと思う。
「そ、そんな……」
ヴァニラは、今度は恥ずかしさに顔を赤くした。
雪のように白いうなじ。そこに舌を這わせながら、柔らかい二の腕を手でなぞる。
「あ……」
くすぐったげな声を上げるヴァニラ。
そのまま手をずらし、シャツ越しに薄い胸板を……
「……!」
胸に指が触れた瞬間、ヴァニラが硬く身を竦ませた。
「あ、ごめん。くすぐったかったかい?」
「い、いえ、大丈夫です。ちょっとびっくりしただけで……」
健気にそう答えるが、無理は隠せない。
「やっぱり恥ずかしい?」
こくりと頷く。
「私……胸、小さいですから……」
「馬鹿だな。そんなこと、関係ないよ」
これも本音だ。
「はい、そう言っていただけると……」
「またそうやって固くなる。リラックスリラックス」
言いつつ今度は手を内腿へと這わせる。
「ん……!」
今度は跳ねるように膝を引き寄せ、拒まれてしまった。
「す、すみません、つい反射的に……」
「いや、ちょっと急過ぎたのかな」
「ごめんなさい、私、自分からお願いしたのに……」
「気にしなくていいって。あせらずにいこうよ」
「でも……」
俯くヴァニラ。沈黙が流れる。
「(どうしたもんかな……)」
やはりまだ子供過ぎるのだろうか。
ヴァニラの想いは叶えてあげたいし、自分だってヴァニラが欲しい。
でも……
「あの、ちょっとよろしいでしょうか」
思いを巡らしていたタクトは、ヴァニラの声に我に返った。
いつの間にかタクトの股間に手を伸ばしている。
「わっ、ちょっとヴァニラ!」
細い指でファスナーを下ろし、既に固くなっている陰茎を取り出す。
「これ……が、男のかたの……」
ヴァニラはしげしげと屹立したそれを眺めた。
男のペニスを見たのは初めてではない。
治療の際、患部が下半身にあれば、目にせざるを得ないこともある。
だが、そそり立ったタクト自身は、今まで見たそれとは全く別物だった。
「ん……」
ちょっぴり頭をもたげた気後れを振り払い、恐る恐る舌を這わせる。
「ちょ、ちょっとヴァニラ、何てことを……」
「お嫌……ですか?」
「嫌とかじゃなくて……そんなことしなくたっていいんだって!」
「でも……男のかたはこうされると喜ぶ、と蘭花さんが……」
「(あの耳年増……!)」
「私、こんなことしかできませんから……」
そう言って愛しげに竿の部分を撫でる。
「うあ……っ!」
白魚のような指に触れられて、タクトのそれが大きく跳ねた。
ヴァニラの頬をぴたぴたと叩いてしまう。
「ご、ごめん……」
「ふふっ、元気がいいんですね」
ヴァニラの口許が緩んだ。
「気持ち悪くないのかい?」
「いいえ、タクトさんのものですし……。
 むしろ、ちょっと可愛いです」
つん、と指先で亀頭をつつく。
「ぐっ……!」
その刺激に、思わず呻き声が漏れてしまう。
「私、うれしいです。
 タクトさんが、私の指で、こんなに感じてくださって……」
「ヴァニラ……」
「あむ……」
ヴァニラの小さな唇が開き、先端をくわえた。
「ん……」
小さいけれど熱い舌が、亀頭を包み込む。
正直、舌遣いそのものはたどたどしい。
しかし、懸命に自分の物を口に含んでくれる愛しさに胸が熱くなる。
頭を優しく撫でると、上目遣いに微笑み、また熱心に舌を這わす。
ヴァニラが夢中になっているうちにシャツの胸元が開き、隙間から可愛い乳首が覗いた。
その光景に不意に昂奮してしまい、今度は口の中で陰茎が跳ねてしまう。
「ん……!」
「あ、ごめんヴァニラ、また」
「いえ……。気持ちいいですか? タクトさん」
「うん、ありがとう。気持ちいいよ」
「よかった……タクトさんのお役に立てて、嬉しいです」
そう言ってまた、ふふっ、と笑う。
実際、ヴァニラの舌遣いはみるみるうちに上達してきていた。
唾液を絡ませ、カリの裏側を攻めたて、かと思うと舌先で尿道口を優しくなぞる。
こちらの弱いところがすべてわかっているかのようだ。
「ヴァニラ、あんまり激しくされると……」
弱々しく抵抗してみるが、おしゃぶりに集中しているヴァニラの耳には入らないらしい。
きっとヴァニラは、他人の反応を見ながら尽くしていくことに、天才的に長けているのだ。
ナノマシン技術はその最たるものだし、自分が飲むわけでもないコーヒーをうまく淹れられるのもそうだろう。
その分、自分の感覚についてはひどく鈍感なのだと思う。
そう、疲労に気付かず倒れたり、自分の肩が凝っているかどうかすらわからないくらいに。でも、それは……
「ん……」
ヴァニラはタクトが感じてくれる嬉しさに、夢中で舌を這わせ続けた。
どうやったらタクトが喜んでくれるか、手に取るようにわかる。
口の中でこわばりが跳ねるたび、尽くす喜びが胸を震わせた。
「ヴァ、ヴァニラ、もう……」
タクトの言葉と共に、舌を当てがっていた輸精管が突然大きく膨む。
ヴァニラが身構える間もなく、熱いほとばしりが喉奥に打ちつけられた。
「んんっ……!」
そのあまりの熱さに驚くが、口を離さずに受け止める。
大量の精液が口一杯に満たされていく。それでもタクトのそれは脈動をやめない。
「ご、ごめん、ヴァニラ」
「ん……」
長い長い射精の時間が終わると、ようやくヴァニラは口を離した。
「ん……く」
こくりと喉を鳴らして精液を飲み込む。
「ちょ、ちょっと、そんなことまで……気持ち悪いだろ?」
「いえ……
 タクトさんが私に出してくださったものですから……」
「ヴァニラ……」
どう言っていいものかわからず、タクトはヴァニラの頭を抱きかかえた。
「ヴァニラ……いいんだよ、そんなことまでしなくたって……」
意外そうに問い返すヴァニラ。
「すみません……お嫌でしたか?」
「そうじゃなくてさ。俺ばっかり気持ち良くなってたら、悪いだろ?」
「でも……私、タクトさんに喜んでいただきたいんです」
「それは俺も同じさ。俺もヴァニラに気持ちよくなってもらいたいんだ」
「え……?」
「こういうのは、どちらかがどちらかに尽くすものじゃないよ。
 二人で一緒に楽しまないとね」
「二人で……ですか」
「うん。いいから、もう一度俺に任せて」
ヴァニラはこくんと頷いた。
ヴァニラをベッドに横たえ、抱き起こすように左手を肩に回す。
膨らみかけの胸の先端がこすれるように、シャツの裾をリズミカルに引っ張る。
「あ……」
ヴァニラは一瞬体を固くしたものの、そのまま布の動きに身を任せた。
不安げにこちらを見つめるヴァニラの、その頭を優しく撫でてやる。
衣擦れの音だけが部屋に響く。
「……う……ん……」
五分も続けただろうか。ヴァニラが吐き出すように声を漏らした。
「やっぱり……くすぐったい?」
「はい……。くすぐったいです。でも……」
「でも?」
「何だか、ちょっと変な気分です……」
手を休めると、シャツの布越しに、乳首の形が透けて見えていた。
「それが、気持ちいいってことだよ」
布の上から、左乳首にごくごく軽く触れる。
「あっ……!」
その途端、ヴァニラの体が大きく跳ねた。
「タ、タクトさん……私、今……」
「どう?」
「体に電気が走ったみたいでした。
 気持ちよかったのだと……思います、多分……」
「よかった。ヴァニラが気持ち良くなってくれて、俺も嬉しいよ」
続けて、右の乳首を布越しになぞる。
「んんっ……!」
触っていくうちにも、乳首がどんどん固くなってくるのがわかる。
「タクト……さん……」
ヴァニラの息が荒くなってきた。唇をゆるく開き、潤んだ目でこちらを見つめる。
乳首をいじりながら、左手で唇を軽くなぞってやる。
「う……ん……!」
腕の中でヴァニラの体が暴れる。
「気持ち良かった?」
「はい……すごく……」
羞恥心に真っ赤に顔を染めながら、ヴァニラが答えた。
「キス……してほしい?」
ヴァニラは黙って頷く。今は唇が感じる時期なのだ。
そのまま唇を塞ぎ、舌を差し入れた。
小さな歯並びを舌でなぞり、それからヴァニラの舌をちろちろと舐める。
ヴァニラは初めこそ戸惑ったようだが、すぐに求め返してきた。
こちらの舌を積極的に求め、快感を貪る。
「私、今日、おかしいです。こんな、はしたない……」
実際、ヴァニラ自身にも驚きだった。
自分に、こんな感覚が眠っていたなんて……。
性知識は医学書(と、蘭花の無駄話)からしか得ていなかったが、多分今夜は痛いだけに終わるだろうと思っていた。
そしてそれでもいい、と覚悟していた。
その痛みが、タクトとの思い出の一つになれば。そして少しでも、タクトに喜んでもらえれば。
だから、自分の内側から押し寄せるその感覚には戸惑いをも覚えてしまう。
もっとタクトを感じたい。もっとその手で、触れてほしい。
夢中で舌を絡ませながら、その感情が自分にしみとおっていくのを感じていた。
「(もうそろそろ、胸以外も大丈夫かな……)」
切なげに足を擦り合わすヴァニラを見て、タクトはそう判断した。
手を伸ばし、ショーツの上からそっと割れ目をなぞってやる。
「う……ん」
湿っていた。
指をクレバスに沿って上下させると、次々と愛液が染み出してきた。
あっと言う間にぬるぬるになる。
「あっ……だめ……です」
ヴァニラは足を固く閉じて抵抗する。
「どうして? 気持ちよすぎるから?」
「……はい」
真っ赤になって頷く。ヴァニラは嘘をつけない。
軽い罪悪感を覚えながらも、ついいじめたくなる。
ひざを押して再び足を開かせ、愛液でぬるぬるになったクリトリスを軽く押す。
「ふああっ……!」
ヴァニラが腕にぎゅうっとしがみついてきた。
「だめっ……! だめです……お願い……」
「だーめ」
リズミカルに刺激し続ける。
「あ……ああ……っ!」
もはや抵抗はない。大粒の涙をためてこちらを見つめ続ける。
ゆっくりとヴァニラのシャツをたくし上げる。
薄い胸があらわになった。
雪のように白い肌の上に、ピンク色の小さな乳首が息づく。
少女独特のなまめかしさがそこにあった。
「いや……恥ずかしい……です……」
「どうして? こんなに可愛いのに」
「だって……」
頬を染めて顔を背ける。
無理もない。
13歳と言えば、一番自分の裸に羞恥を覚える年頃だ。
同性に胸を見られるのさえ恥ずかしいのに、こんな……
「でも、こんなに固くなってるよ?」
つん、と右の乳首をつつく。
「……っ!」
声にならない声を上げてヴァニラが身を竦ませた。
「敏感なんだね、ヴァニラ」
「そんな……」
そのまま乳首を口に含む。
「あっ……」
舌でちろちろとねぶる。
口の中でヴァニラの乳首は一層固くなった。
「だめ……なめないで……」
タクトの頭を押さえて抵抗しようとするヴァニラ。
だが、すでにその力は弱い。
背中に回した左手を左の乳首に伸ばし、軽くつまみ上げる。
「だめ……だめ……胸……いじらないで……」
ヴァニラは乳首が特に弱いらしい。
右の乳首を強く吸い上げ、同時に左乳首を人差し指で押し潰す。
「ああっ……!」
がくがくと体を震わせ、しがみつくようにタクトの頭を抱える。
「気持ち……気持ちいいです……タクトさん」
「いい子だ」
唇を塞ぐ。
「ん……」
ヴァニラは、今度は自分から舌を入れてきた。
左手でコリコリした乳首の感触を楽しみながら、右手でショーツを下ろす。
「う……ん」
愛液で貼りついたショーツを剥がされる刺激に、足をくねらすヴァニラ。
無毛の股間をまさぐり、スリットに指を這わす。
人差し指で軽く入り口を刺激しながら、膣口を探し当てる。
「(やっぱり、小さいな……)」
親指でクリトリスを軽く撫でつつ、人差し指を浅く入れてみる。
「ん……」
ヴァニラが体を固くした。
「痛い?」
「はい……少し。でも、大丈夫です」
「そうだね。ちょっと我慢して」
キスでヴァニラの不安を和らげながら、指を埋めていく。
すでに十分に濡れているためか、抵抗を感じつつも、指自体は導かれるように中へ入った。
処女膜を傷つけないように、第1関節までにとどめておく。
「あ……入ってるんです……か?」
「ヴァニラの中……暖かいよ」
「そんな……恥ずかしい……です」
ゆっくりと指を出し入れする。
「あっ……ああっ……」
目を大きく見開き、未知の快感に耐えるヴァニラ。
「ふふ……気持ちいい? いやらしいんだね、ヴァニラ」
「そんな……そんな……意地悪、言わないでください……」
「じゃあ、もっと意地悪しちゃおう」
今まで胸をいじっていた手を離す。
「え……!?」
もちろん右手は休めない。
指を折り曲げて内側を刺激してやると、泉のように愛液が湧き出してくる。
「あ……ああっ」
白いお腹を波打たせて悶えるヴァニラ。
左手で胸の周囲を軽く撫でてやると、ヴァニラは自然に胸を反らしてきた。
小さいくせに、生意気にとがった乳首が目の前に突き出される。
それでも絹のように滑らかな肌の感触を楽しむばかりで、胸の中心部には触れずにおく。
「タクトさん……意地悪、しないでください……」
「どうしてほしいの……?」
「え……」
さすがに黙り込むヴァニラ。
自分からそんな事をお願いするなんて、いくらなんでも……。
でも、でも……
「タクトさん、私、せつないです、とても……。
 だから……」
早く触ってほしい。指が乳輪の縁を通り過ぎるたびに、もどかしさが加速する。
「じゃあ、どうすればいい?」
催促するかのようにタクトがクリトリスをつまみ上げた。
「ああっ……!」
その瞬間、頭が真っ白になった。思わずおねだりが口をついて出る。
「胸を……乳首を、いじってください……お願い……します」
そう言って薄い胸を思いきり反らす。
「いい子だね、ヴァニラ」
タクトは左の乳首を爪でカリカリといじり、同時に右の乳首を吸い上げた。
「うあ……ああぁっ!」
待ち焦がれていた刺激に、ヴァニラは殆ど悲鳴に近い声を上げた。
膣が指をきゅうっと締めつけてくる。
「タクトさん、タクトさん……私……」
「?」
「私、怖いです……何だか、何かが……」
「大丈夫だよ。そのまま、その感じに身を任せて」
「はい……」
抽送を速め、昇り詰めていくヴァニラを見守る。
「あ……タクト……さん。
 抱き……ついても……いいです……か……?」
頷くと、ヴァニラは首に手を回し、しがみつくように体を寄せてくる。
「いいです……気持ち、いいです……」
膣口をかきまわし、乳首をきつく摘み上げた瞬間、ヴァニラの体が跳ねた。
「あ……ああっ……!」
がくがくと体を震わせ、タクトの体を引き寄せる。
膣が痛いくらいに指を締めつけていた。
絶頂に達したのだ。
「はあっ、はあっ……」
あまりの快感に、苦しげに息を漏らすヴァニラ。
「私……私、どうしたのでしょうか?」
「いったんだよ、ヴァニラ」
「いった……?」
「そう。とっても可愛かったよ」
再びヴァニラがしがみついてきた。
「タクトさん、タクトさぁん……」
うわごとのようにそう繰り返す唇を、タクトはそっと塞いだ。
「それじゃ、いくよ……?」
仰向けにベッドに横たわるヴァニラに声をかける。
「はい。お願いします……」
こうやって見ると、ヴァニラは本当に小さい。
体は丸みを帯び始めてはいるが、手足は棒のように細く、儚げだ。
「(大丈夫だろうか……。
 いや、俺が自信を持たなきゃ、ヴァニラを不安にさせるだけだ)」
と、タクトは肝心なことを忘れていたことに気付く。
「あ、ごめん。ゴム、ゴム……」
慌てて引き出しに手を伸ばそうとするタクトを、ヴァニラが制した。
「大丈夫です、タクトさん。
 私まだ……生理、ありませんから……」
「(……!)」
「す、すみません……」
タクトの顔に浮かんだ驚きを察したのか、ヴァニラは済まなげに俯いた。
それはヴァニラ自身も残念に思うことだった。
本当は、タクトの子供がほしい。
それは、ついさっきまでは想像もできなかったような感情だ。
自分だってまだ子供のくせに……
可笑しいな、と思いながらも、そんな感情を抱ける自分が少し嬉しかった。
「そんな、謝るようなことじゃないよ。
 でも、大丈夫かい? 本当に……」
「はい……」
「痛かったら、すぐ言うんだよ」
ヴァニラはこくんと頷いた。

一度絶頂に達した陰唇は、愛液で既にぬるぬるになっている。
タクトはそこに怒張を当てがった。
ヴァニラにしても、怖くないと言ったら嘘になる。
でも、タクトに貫いてほしいという体のうずきも本当だった。
「いくよ」
陰茎が入り口から反れないようにヴァニラの腰を押さえ、タクトは腰を沈めた。
「……!」
指とは違う感触が粘膜を割ってくるのを感じ、ヴァニラが身をこわばらせる。
「力を抜いて、楽にして」
腰をつかむ手に力を入れ、引き寄せるようにヴァニラを求める。
熱いぬめりが亀頭を包んだ。
「んん……っ!」
痛い!
灼けた火箸を入れられているようだ。
想像以上の痛みに、思わず声が漏れてしまう。
「ヴァニラ、痛い?」
タクトが心配気に訊く。
「い、いえ、大丈夫、です……」
健気にそうは言うものの、明らかに苦しそうだ。息が荒い。
結合部を確認するが、まだ亀頭しか入っていない。
「やっぱりやめよう、今日は……」
やはり無理だったのだ。
「ちょっとずつ、慣れていこうよ」
そう言って引き抜こうとすると、ヴァニラの腕がそれを押しとどめた。
「いや……抜かないで、ください……」
「ヴァニラ……?」
「私なら、大丈夫ですから……」
「だけど……」
「痛いのは確かです。
 ……でも、私、タクトさんと一つになりたいんです」
「ヴァニラ……」
「お願い……します。お願い……」
ヴァニラの目に涙が浮かんだ。それは痛みのためなのだろうか。それとも……
「……わかった。
 でも、本当に耐えられなかったら、ちゃんと言うんだよ」
「はい……約束します」
再びタクトは腰を沈めた。固いこわばりが、未発達なヴァニラの膣を押し開いていく。
「ん……ううっ……ああっ!」
ヴァニラの声は殆ど悲鳴に近い。
それでもシーツを掴みながら、必死で耐えようとする。
ヴァニラの中は熱く狭く、タクトをきつく締め付けてくる。
気をしっかり保たないと、すぐ出てしまいそうだ。
「ヴァニラ、大丈夫?」
「は……い……うああっ!」
亀頭が何かのひっかかりに触れ、ヴァニラが引きつけたように体を浮かせた。
弓なりに体を反らせ、痛みから逃れようとする。
「(処女膜かな……)」
ヴァニラの頭を抱えるように覆い被さり、優しく囁きかける。
「ごめん、ヴァニラ。痛いと思うけど、俺もヴァニラがほしいんだ」
「……は……い……」
ヴァニラは涙目でタクトを見つめ、やっとそれだけ答えた。
「肩、つかまって」
「はい……」
頭を軽く撫でてやる。
そうしてヴァニラの力が少し抜けた隙に、先端に感じる抵抗を押し破った。
そのまま中に突き入れる。
「うああああぁっ!」
胸の下で、少女の体が暴れた。
「う、うう……っ!」
身をよじり、肩をつかむ手に力を入れて、必死に破瓜の痛みに耐えようとする。
「入ったよ、ヴァニラ」
「はい……タクトさんが入っているの、わかります……んんっ!」
気丈にそう答えるが、かなりの痛みのようだ。
はーっ、はーっ、っという深く荒い息に合わせ、胸板が大きく上下している。
と、タクトは一つの考えに思い至った。
「あのさ、ヴァニラ。ナノマシンで痛みを和らげることって、できないのかな」
「できる、と思います……」
「じゃあ、そうしようよ。そのほうが……」
「でも、私……ちゃんとタクトさんを感じたいんです。
 痛みも一緒に……」
本心だった。
ずっと自分の体を疎ましいと思ってきた。
すぐに食事や睡眠を要求する自分の肉体を。
そんな暇はない。自分は、もっともっと努力しなければならないのに……。
だが今は、痛みも愉しみも感じられる自分の体が愛しかった。
だから、その感覚に素直になろうと思う。
「私、嬉しいです。こうやって、タクトさんを受け入れられて……」
「ヴァニラ……」
その健気な答えに、タクトの胸は詰まった。
だけど、これじゃあまりにも……
「あの……しがみついても、いいです……か?」
そうだ。そのほうがいいかも知れない。
痛みが消えなくとも、せめて肌を合わせて……
座位へ切り替えようとヴァニラの背中に手を回し、抱き起こす。
が、結合したままというのに無理があったのか、陰茎が膣をひっぱり上げる格好になってしまった。
「うああっ……!」
あまりの痛みにヴァニラが体をよじる。
その反動で、ヘッドギアが頭から外れた。乾いた音を立てて床に転がる。
緑色の豊かな髪がこぼれ落ち、ヴァニラの素顔が露わになった。
初めて見るヴァニラの素顔。
改めてその可愛さに息を呑む。
そこにいたのは貴重なナノマシン使いでもなく、選ばれし紋章機乗りでもない。
まだあどけなさの残る、普通の少女だった。
「あ……!」
ヴァニラがうろたえたように、落ちたヘッドギアを目で追う。
「わ、私、拾わなきゃ……」
「どうして?」
「だって、私……」
理由を言おうとして、そんなものがないことにヴァニラは気付いた。
ただ、物心ついてから、人前でギアを外したことはなかった。
だから、正直どうしていいのかわからない。
「だって私、恥ずかしいです……」
理由にならない理由を口にしてしまう。
タクトはそんなヴァニラの様子から、直感的に何かを感じ取った。
「そんなことない。とっても可愛いよ。
 それとも、俺にも素顔は見せたくない……?」
「い、いえ、そんな……」
「じゃあ、いいじゃないか」
耳元でそう囁きかけると、ヴァニラはびくっと体をすくませた。
「あ……!」
「どうしたの?」
「い、いえ、あの……」
「もしかして、耳、感じるんだ」
耳たぶを優しく撫でる。
「そ、そんな……ああっ!」
理性が否定しようとするが、タクトの指に体が如実に反応してしまう。
「ほら、やっぱり」
ふうっ、と息を吹きかける。
「ふああっ……!」
切なげな吐息が漏れ、ヴァニラの中がきゅっと締まった。
再び愛液が膣を満たしつつある。
「お、お願いですタクトさん。
 ちょっと、待って……」
「どうして? こんなに感じてるのに」
今度は軽く耳たぶを噛む。
「あ……ああっ!!」
今まで外気に触れてこなかったヴァニラの耳は、ひどく敏感なようだった。
初めて感じる刺激に素顔を見られる戸惑いが加わって、思考がついていかない。
「私、どうしていいのかわかりません……
 こんなの、こんなの……!」
耳から頬にかけてのラインを愛しげになぞると、懇願するようにヴァニラがしがみついてきた。
首に腕を回し、体を密着させてくる。
熱く滑らかな肌。
それまでの絹のようにさらさらした肌触りが一変していた。
しっとりと汗ばみ、まるで吸い付くかのよう。
このまま自分と溶け合っていってしまうような錯覚さえ覚える。
「タクトさん、私、私……」
ヴァニラが切なげにこちらを見詰める。
その視線に応えるかのように、唇を合わせた。
「う……ん……!」
もはや破瓜の痛みも忘れているようだ。
頭を撫でてやるだけで敏感に反応し、腰をもじもじと動かす。
今や耳だけでなく、全身が性感帯になってきていた。
あるいはヴァニラに最後に残った心の壁が、あのヘッドギアだったのかも知れない。

「あ……入って……きます」
愛液でぬめりを増したからだろう。
これ以上は入らないと思っていた陰茎を、膣がさらに迎え入れた。
亀頭がこりこりした感触に行き当たる。子宮口だ。
「奥に……当たっています」
と、そう言ってから、ヴァニラは顔を赤らめた。
「あ、私、何てことを……」
恥じらう少女の姿に、ふとタクトの笑みが漏れる。
「動かすよ、ヴァニラ」
「は、はい……ああっ!」
腰を突き上げると、それに合わせて甘い嗚咽が漏れる。
「痛くない?」
「は、はい……気持いい……です……」
「正直だね」
「そんな……」
訴えかけるようなヴァニラの視線を受け止めながら、背中の正中線を指でなぞる。
「あ……ああっ!」
ぞくぞくっとした快感が脊椎を付き抜ける。
たまらず背中を反らすヴァニラ。
今度は目の前に突き出された乳首を吸い上げる。
膣が再びきつく締まり、熱い愛液が結合部からしたたり落ちた。
「あ、だめです……胸、だめ……!」
「どうして? こんなに固くなってるのに……?」
「だって、だって……」
小さな乳首をつまみ上げるたびに、膣がきゅうっと締まる。
「あ、ああっ……」
抽送を速める。
粘膜を押し入って腰を差し入れるたび、気の遠くなるような快感がタクトを襲う。
引くときは引く時で、タクト自身を離そうとしないかのように、襞がカリを引き絞る。
それはヴァニラも同じ事だ。
深く突き上げられるたび、頭が真っ白になる。
自分とタクトの快感がシンクロしていくのが、体の奥で感じられる。
「(私が気持ちいいと、タクトさんも気持ちいいんだ……)」
それがひどくうれしく感じられる。
「ひっ、くぅん……」
泣き声のようなヴァニラの喘ぎ。そのテンポが上がってくる。
「タクトさん……私、また……」
「大丈夫。怖くないよ」
「お願い……ぎゅっ、ってしてください……」
ヴァニラを引き寄せ、きつく抱き締める。ヴァニラが唇を押し付けてくる。
「ん……んん……っ!」
タクトも限界に近づいていた。
陰茎の付け根から熱い衝動が高まってくる。
「ヴァニラ……いくよ……」
「タクトさん、タクトさぁん……」
固く勃起した乳首を甘噛みすると同時に、膣がこれまでにないくらいに引きすぼまった。
「うああっ!」
タクトを強く抱きしめる。
「好き……好きです……タクト、さん……!」
その言葉に応えるように、タクトは射精した。
「あ……熱っ……!」
膣の奥に打ちつけられる精液の熱さに、ヴァニラも絶頂を迎えた。
「ああっ…あああああぁっ……!」
必死でタクトにしがみつく。
「う……ううっ……」
どくっ、どくっ、どくっ……
白濁が中に吐き出されるたび、痙攣するように体を震わせる。
目の焦点が合っていない。
「はあっ、はあっ……」
苦しげにしゃくりあげ、快感の嵐に耐える。
「熱いです、タクトさんの……中で、とくとくって……」
ヴァニラの膣は、まだ小刻みに収縮を繰り返していた。
それに搾り取られるかのように、タクトは精を放出し続ける。
永遠に続くとさえ思える時間の後、ようやく射精が終わった。
放心状態のヴァニラが体を預けてくる。
「タクトさん……好き……」
「俺もだよ、ヴァニラ」
その言葉に、ヴァニラはゆっくりと微笑んだ。天使のような笑顔だった。
「私、幸せです……とって……も……」
言い終えないうちにヴァニラは気を失った。
程なくかわいい寝息を立てはじめたヴァニラの髪を、タクトはいつまでも優しく撫で続けた。
                                    (おわり)



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