○○×ヴァニラ(○○には自分の名前を入れてみよう)

彼女が待ち合わせに遅れてやってくる。
小走りで駆け寄ってきて「ゴメン、まったぁ」なんて少しはにかむ。
媚でごまかす女の打算も、そんな時だけ水に流せる。
憧れていたお決まりのワンシーン。それを裏切るように、あの子はハチ公の前にいた。
「ゴメン、まったぁ」
これじゃ立場が逆だ。チラッと時計を見る。
十二時、予定通りの時間だ。
「だけど俺も遅れてないぜ。早いんだね」
彼女はコクンと頷くと、「時間厳守です」とだけ囁いた。
今日はじめての台詞が「時間厳守」。変った子だな、いつもそう思う。
時々「神」だの「お告げ」だのと口走り、僕を驚かせる。
「それじゃ、いこうか」
僕等は手をとりあい、映画館へ向かった。
本当は映画なんかじゃなく、二人で語り合いたかったんだ。
将来のこと、仕事のこと、宗教のこと。謎が多い子だからこそ、いろいろ知りたい。
でも無口な彼女の間を埋めるのは、かなりしんどい。だから仕方ないな。
あまり会話もないまま、映画館に辿り着いた。
「君といつまでも」、これが今日観る映画。ベタベタのラブストーリーだそうだ。
別に特別観たいわけじゃないけど、スクリーンに目を向ける。
彼女は楽しんでいるだろうか。暗闇の中を横目で確認する。
・・・泣いている。
恋焦がれるヒロインに共感したのだろうか。やっぱり女の子だ。少しほっとする。
涙を拭ってあげたいけど、やめておこう。
ビックリさせるといけないし、彼女も気づかれたくないだろうから。
映画も終わり、無言のまま外に出る。
太陽の光がやけに眩しい。
彼女の目がいつもより赤く見えたのは、僕の見間違いだろうか。
緊張して気づかなかったけど、少し小腹がへってきた。
今はお昼の二時。昼食はまだだった。
「お腹、空いたね」
「そうですね」
「何か食べようか」
この子は何を食べるのだろう。とても気になる。
「あれがいいです。オレンジの看板の」
吉野家。彼女のさした指先には、確かにそれがあった。
(牛丼なんて食べるのか)
また一つ謎が増えたな。相変らず、僕の想像を超えている。
自動ドアを潜り席に座る。並を二つ、ツユダクで頼んだ。
「だけど君、宗教上菜食主義じゃなかった?」
うろ覚えだが、そんな事を聞いたような気がする。
「別に食してはいけないわけではありません。」
少し不機嫌そうに水を飲む。どうやら安易に関わってはいけない世界のようだ。
だからこそ、もっと知りたくなる。
「あ、そうなんだ。他にはどんなの食べるの」
「何でも食べます」
他人行儀な違和感も、僕ら特有の間だ。
二人でいることに幸せを感じながら、牛丼をかきこんだ。
彼女は少食なので、食べるペースが僕より遅い。食べなれていないので尚更だ。
小さな口に牛丼をかきこむ彼女。肉片が唇に触れ合う時、ジュルジュルという音を立てる。
収まりきらずに垂れた汁が、口元に一筋の川を作った。
彼女はそれを舌で舐めると、少し微笑んだ。
「ごめんなさい。はしたないですよね」
肉の脂でキラキラ光る唇が、麗しい。
「気にしなくていいよ」
本当に気にしなくていい。君は君のままが美しいのだから。
具を総て食べ切り、丼の底に溜まった汁をゴクリと飲み干す。
液が喉を通過する際、トクンと波打つのが見えた。
「ご馳走様でした」
彼女は両手を合わせ、深々とお辞儀をした。僕もそれを見習う。
「さあ、行こうか」
勘定を済ませ、牛丼屋を出た。
見慣れた町並みを、彼女と並んで歩く僕。
背丈が違うから腕は組めない。だけど、何かで結ばれている安心感があった。
「一つ、あなたに伝えたい事があります」
彼女が急に口を開いた。この子の言動はいつも突発的だ。
「なんだい」
こんな時、性的な妄想をしてしまうのは男の性だろう。
「私は、この世界の住民ではないのです」
彼女特有のギャグだろうか。宗教と笑いを練り混ぜた、ハイブリッドなウケ狙い。
僕はにやけたが、彼女の目はマジだった。
「・・・それって、どういうこと?」
僕は尋ねる。
「私は、私の世界にある、不思議な機械を使いこの世界に来ました。目的は、異性と接するためです。私の職場は全員女性なので、欲求が溜まるのです。」
珍しく長台詞。小休止の後、更に続ける。
「いつも取り合いになるその機械が、やっと私までまわってきました。私は、若者が闊歩する街を男性と一緒に歩きたかったのです。だからこの街を創りました」
彼女は正気だろうか。心配する僕をよそに、また話し始める。
「もとの世界に戻るには、オルガスムスを感じなくてはなりません」
要するに、彼女の話はこうだ。
彼女自身、この世界の者じゃない。そしてこの世界そのものは、彼女が創り出したそうだ。
彼女がもとの世界に帰れる方法、それは性的な絶頂を感じさせること。
「それでは、お願いします」
彼女は僕の腕を取り、公園の茂みの方へ引っ張って行った。
その時、僕は気づいた。少女は照れているのだと。
大人の世界を味わいたくなる年頃。でもそれを直接言うのでは恥ずかしい。
だから自分のキャラを利用して、マイルドに誘ったんだ。
茂みの中で二人、身を屈める。これなら通行人にも気づかれない。
少女はいきなり自分のスカートを捲り上げ、女性器を露にした。
経験不足なのだろう。段取りをまったくわかっていない。
だが僕もすかさず、桃色の秘境を舐め回す。ここは彼女の勇気に答えなくては。
ほどよく濡れてきた所に、指を差し込む。
一本、二本、無理だと思ってた三本目も、難なく入った。
生温かい性器の中で、指を小刻みに震わす。だが、流れ出る蜜の量が少ない。
「指だけじゃ、満足できません」
彼女はそう言うと、僕のズボンのチャックを開けた。そして先の湿っている肉棒にしゃぶりつく。
上下の唇が、欲望の架け橋を這っていく。更に粘り気のある舌で全体を舐め尽くす。
僕の棒は、たちまち握りこぶしのように硬くなった。
「入れて、下さい」
少女は地面に寝転がった。パックリと、股を広げながら。
そこには満開の桜が咲いていた。
発射寸前のジェット風船。
パンパンに膨れ上がった性欲の塊を、少女の秘境に差し込む。
僕はテクニックこそ備えていないが、大きさだけは自信がある。少女を満足させるには十分なサイズだ。
「あっ、くぅ・・・」
普段は無表情の少女が、苦痛に顔を歪める。
だが彼女の鉄火面を剥いだのは、痛みを遥かに凌駕する快楽であった。
僕は容赦なく、腰を振り続ける。
見たこともない顔、聞いたことのない声が聞きたかった。
「ああん、ああ・・・」
喘ぎ声を上げ、彼女は果てた。少々手荒すぎたか、僕は鬼畜になったことを悔やむ。
ぐったりする少女の表情は、まさに天使であった。
僕が彼女を起こそうとした瞬間、妙な事が起きた。僕の体が透け始めたのだ。
僕の体だけではない。茂みも、通行人も、ベンチも、時計台も、空や雲や太陽までもが、透き通りだしたのだ。
「私がオルガスムスを感じたとき、この世は消滅する」
つい先ほど、この少女が言っていた台詞である。僕の性欲をまともに受け、気を失っているこの少女が。
(なんてこった・・・)
彼女の言っていた事は本当だったんだ。
この世界は、彼女の言う不思議な機械が創り出した幻。
もうこの世界は用済み。
薄れてゆく意識の中で、「そういえば、この子の名前聞いてなかったな」
なんてことを考えいた。



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