ヴァニラ&タクト

(本当にこんなもので大きくなるのだろうか?)
タクトは半信半疑で白いクリームを股間に塗った。
このクリームは蘭花から譲り受けた物だ。自分のコンプレックスを打ち明けた時、「いいものがある」と言いこれをくれた。
だがその時の蘭花の不敵な笑み。何か裏がありそうだと思い、今まで使わないでいた。
だが今日、意を決しクリームの封印を解いたのだ。
「すいません…、タクトさん、いらっしゃいますか…」
ドアの向こうから、自分を呼ぶ声が聞こえた。
それが女の声だったため、下半身剥き出しのタクトは焦った。
ズボンを慌てて上げ、「はい、今開けます」などと平静を装いドアに向かった。
ドアを開けるとそこにはヴァニラが立っていた。いつも控えめな彼女だが、今日はいつにも増しておとなしい。
と言うより、何かに脅えているようだ。
「すみません、突然…」
うつむきながらヴァニラは言う。
「気にしなくていいよ」と彼女を気遣うタクト。
そして「そんなうつむいてちゃ、かわいい顔が見えないよ」とジョークを飛ばしながら、
「君の赤い瞳が見たいな」とヴァニラの顔を覗き込む。
笑顔を取り繕ったタクトの顔が、一瞬で青ざめる。
いつも能天気な彼が言葉を失った、衝撃の事実がそこにあった。
「ヴァニラ、どうしたんだ。そ、その顔…」
ヴァニラは、顔中イボだらけになっていた。
ピンク色の突起物。それが純白の肌を覆いつくしていた。
この世のものとは思えない存在。
だがあえて身近なもので喩えるならば、タコの吸盤が近いかもしれない。
「何があったんだ」と言いたげなタクトを目で制す。
「気づいたら、こんなになっていまして…」
ヴァニラはあふれる涙を指でぬぐった。
本来なら、女の子が涙をぬぐう姿などそそられる場面であろう。イマジネーション次第で、オカズにすらなりうる素材である。
だがこの場合は違っていた。どんな歪んだ性癖の持ち主でも、目を背けたはずだ。
なぜなら涙をぬぐったその指にまで、ピンク色のイボが付いていたのだから。
「と、とにかく中に入りなよ」
タクトはイボだらけの少女を部屋に招き入れる。
こんな姿を誰かに見せるわけにはいかない。
おそらくヴァニラ自身も、人目を避けながらここまで辿り着いたのだろう。
ヴァニラは艦内で、清潔感をウリにしている。といってもヴァニラが意図したものでないのだが、そのイメージは定着してしまった。
この変わり果てた姿を見られるということは、学校での排便行為を目撃されるのに似た恥ずかしさ、やるせなさがあるのではないか。
いや、年頃の乙女にとって、それとは比べ物にならないかもしれない。
回りくどい心配をするタクトに、ヴァニラは追い討ちをかける。
「…タクトさん、驚かないで下さい…」
そう言うと、ヴァニラは突然服を脱ぎだした。
これ以上何に驚くものがある。そう高をくくっていたタクトだが、目にしたものは想像を遥かに超えていた。
瞳はビックリ箱の仕掛けのように飛びだし、顎は地面に付きそうなくらい外れた。
それは当然のリアクションだろう。
ヴァニラの体中に無数のイボが付いているのを目の当たりにすれば、誰でもそうなる。
「…こんな姿でも、愛してくれますか?」
ヴァニラは潤んだ瞳で懇願した。
タクトとヴァニラはすでに、肉体的な関係を済ましていた。
それどころか、永遠の愛を誓い合うほどの仲であった。
だからこそヴァニラはここにやって来たのだ。自分が醜い姿になったとき、あの人は私を抱いてくれるだろうか。
健気なヴァニラは、タクトの愛を確かめたかったのだ。
「僕は、君のすべてを包める」
そう言ってタクトは、涙ぐむ少女を抱きしめた。
ピンク色のイボが、体中に当たる。
ちょうど全身で、青竹踏みを抱きしめているような感じだ。
そのイボは背中にも付いていて、引き寄せる時にグニャっと潰れる。
感触は柔らかく、気持ちの悪いものではない。
よく見ると、その突起物も可愛らしく思えてくる。
それらを指で軽く摘みながら、「一つ一つに名前を付けたいな」などとタクトは思った。
まず脇にあるイボを舐める。味こそ無いものの、甘美な香りがするから不思議だ。
ヴァニラもイボに触れられる度、微かに反応する。どうやら感じるらしい。
タクトは舌を這わせながら、徐々に下降して行く。
哺乳瓶の先端みたいな突起物は、下腹部や太もも、更には足の指の間にまであった。
足の人差し指と中指を引き離し、そこにあるイボを舐める。
ヴァニラの表情は歪むが、それは苦痛のためでも羞恥のためでもない。単純に気持ちがいいのだ。
タクトは起き上がり、ヴァニラの首もとに手をかけた。そして真っ直ぐ下へ、くすぐるように降ろして行った。
まるでピアノの鍵盤を、端から端まで一気に弾くように。
ピアニストと化したタクトの指に弾かれ、イボ達は一斉に踊りだした。
その様は『お好み焼きに乗せたかつお節』とも形容できるし、
『そよ風に揺られる草原の草木』とも喩えられた。
全身のイボを一気に刺激されたヴァニラは、どうやらエクスタシーに達したらしい。
呼吸は荒く、心ここにあらず、といった様子であった。
タクトの愛を全身に受け、満足そうなヴァニラに改めて聞く。
「ねぇヴァニラ、このイボの正体はなんだい。本当は知っているんだろ」
タクト自身も正直、薄々わかっていた。
ピンクの突起物で、いじられると感じるもの。
乳首しかなかった。
問題はなぜ乳首が全身にできたかと言うことだ。
「ヴァニラ、そろそろ教えてくれよ」
返事を拒むヴァニラを、なおも説得し続ける。
その押しに負け、ついにヴァニラは重たい口を開いた。
「実は…、ある薬を塗ったのです。胸が大きくなると言われて…」
ヴァニラは顔を赤らめる。と言うよりイボに赤みが増した、と言った方がこの場合適切かもしれない。
「なんでそんな事を。今のままでもよかったのに」
もちろんタクトとて大きいに越した事はない。しかしヴァニラにはそんな事求めていなかった。
「僕は君といるだけで幸せなんだ。胸の大きさなんか関係ない」
「はい、そう言って頂けると嬉しいです。しかし…」
「しかし?」
「あなたが私の胸を始めてみた時、「これじゃ挟めないな」と言ったのを覚えていまして…」
タクトはヴァニラを追い詰めたのが自分の失言である事に気づき、多いに落胆した。
「…ごめん、ヴァニラ」
「いえ、いいんです。ただその薬を胸に塗ったらこんな事に…」
ここでタクトはハッとした。
「おい、ヴァニラ。その薬ってもしかして、白いクリームじゃないか?」
「えっ、ええ。そうですけど…」
「あの蘭花にもらった?」
「はい…」
「塗った部分が大きくなるって言われただろ!」
突然の剣幕に、ヴァニラはただ首を縦に振るしかなかった。
「なんてこった…」
そのクリームはタクトがつい数時間前、自分のペニスに塗っていたものだ。
(あの、バカ女…)
タクトは蘭花を心底憎んだ。
「…あっ、タクトさんどうしたんです。このコブ…」
ヴァニラは慌てるタクトを不審がりながら、頭の上のコブを撫でた。
そのコブはピクンという軽い躍動の後、ムクムクと伸び始めた。
「きゃあっ」
ヴァニラが撫でたコブは一本のペニスとなり、タクトの頭の上にそそり立っていた。
それを皮切りに、無数のペニスが全身から生え始める。
まるで、雨上がりの竹の子のように。
「いやあ!」
「うわあ!」
あまりの事態に耐えかね、ヴァニラは外へ飛び出す。混乱したタクトはそれを追う。
悲鳴を上げ逃げ惑う全身乳首だらけの少女と、それを追い掛ける全身ペニスだらけの男。
その異様な光景を目撃した乗組員は皆、失神したという。



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